行き先を公園に決めて香穂子は準備をした。

と言っても然程準備らしい準備は無い。

服を着替えて軽く遅い朝食を摂って、適当な鞄に財布と携帯を入れて出かけた。





潮風芳る公園。

港町らしい、何処か洗練されたそこは公園と言うよりも庭園に近いものがある。

注意すれば音楽学校が近いだけあってコンクールが終わった今もこの公園の何処からか楽器の音が微かに聞こえる。

遠くで鳴る漣と混ざって心地良い音を奏でる。

(さてと)

鞄の中を見れば財布と携帯と、読みかけの文庫本。

だが少し、喉が渇いた気もする。








(木陰で本を読んでゆっくりする)

(飲み物を買ってベンチで辺りを眺める。)